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バリアフリーへの旅 文・masa
ロシア代表横浜入り!

タロさんが到着したら、このインターナショナルゲートから、馬車道ゲートまでのワールドポーターズ外周を、トライクに乗ったタロさんと、韓国の伝統舞踊「プンムル」がパレードをし、そこで完走セレモニーが行われることになっているので、その道をたどって、馬車道ゲートの方へと歩いてみた。すると、ワールドポーターズを挟んで道路の反対側に、たくさんの報道陣がいるのが見えた。いよいよ本格的になってきたかと、ちょっと期待に胸が膨らむ。

すると、次の瞬間、横に「KOREA JAPAN」のワールドカップのロゴマークのついたバスがワールドポーターズの向かいにあるホテル、ナビオス横浜に向かって入ってくるのが見えた。中には赤いシャツの人たちが乗っている。最初はワールドカップの観戦ツアーか何かの人たちかと思っていたのだが、どうも様子がおかしい。周囲にいた人たちや報道陣が、みんなそのバスの方へと向かっていく。もしかして、と思い、僕も行こうとするが、赤信号に道をふさがれる。

信号待ちをしていると、木下さんも横にいた。信号はなかなか変わらず、その間にも、バスを囲む人たちは増えていく。やっと信号が変わり、人ごみに向かって走る。やはりそうだ。ロシア代表だ。明日の横浜国際競技場でのワールドカップ第1次予選、対日本戦を前に、現地入りしたのだ。ロシアの選手たちがバスから降りてくる様子はわかったが、人ごみの後ろからではよくわからない。頭の上に手を伸ばして、デジカメで撮るが、ほとんどよくわからない写真であった。しかし、木下さんは選手が見えたようで、「モストボイ見ちゃった」と嬉しそうだ。

選手がホテルの中に姿を消すと、人ごみが薄れてきたので、前の方へ進む。ホテルの入口に「全館貸切」という張り紙が見えた。その場で木下さんとロシア代表の話をしていると、取材を終えた様子のNHKのクルーの人たちが、こちらに向かってきた。そして、カメラが木下さんに向けられ、リポーターの方が話しかける。

「ロシアの選手、見ましたか?」
「はい、見ました!」と元気よく答える木下さん。

隣にいた私は思わず席を外し、その光景を写真に収める。

インタビューを終えた木下さんは、ちょっと興奮気味で、いろいろなところに電話をかけ始めた。おかしいけれど、なんだか微笑ましい光景。私は、取材する側が取材されてしまったので、なんだかちょっと複雑になっていたが、偶然、こういう現場に立ち会えて嬉しかったというのが、正直な気持ちだ。

それにしても、バスの前には「RUSSIA」とちゃんと書かれているのが、なんだかおかしかった。
江尻真樹(えじりまさき)
横浜市金沢区在住。
シンプル、純粋、透明をキーワードに、
「人がくつろぐ空間」を考える。
海と猫と、小田和正を愛する27歳。
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